【内容紹介・目次・著者略歴】
イタリア・ルネサンス、そしてその中心となったフィレンツェ共和国(1282年~1532年)。ギリシャ・ローマの古典文化との関連でこの間の歴史が考察されるが故に、ルネサンスという時代概念が用いられる。また今日ではこれと分離し難い概念として、ヒューマニスト(ウマニスタ)が存する。特定の時代に生まれ、やがてヨーロッパ各国で定着するが故に、人文主義者と邦訳せずに用いられる。ならば、共和国のルネサンスはいかにあり、同国のヒューマニストたちはいかなる人たちであったのか。これらを知るべく、レトリックと自由の意義が歴史的に探究され、文化と政治の担い手たちが群像豊かに叙述される。彼らは古典的教養(パイデイア、フマニタス)を積みながら、政府官房の公務に勤しむ点で異彩を放つ。研究史上の名高い概念、「市民的ヒューマニスト」と称されるのは彼らのことであり、公私にわたる彼らの活動が点描される。
【目次より】
序論 ルネサンス文化の時代的特徴
1 古代「再生」の時代
2 ルネサンス世界の成立と拡大
3 レトリック文化
4 ヒューマニズム文化とプラトン主義文化
第一章 レトリックの伝統と社会
1 ヒューマニズム概念の成立とヒューマニスト誕生
2 中世レトリックの伝統とルネサンス・ヒューマニズム
3 古典レトリックの復興
4 レトリックと公的・私的書簡
第二章 一四〇〇年代フィレンツェ史論
1 アリストテレス主義と政治的ヒューマニズム論
2 バロンの市民的ヒューマニズム論
3 市民的ヒューマニストか職業上のレトリシャンか
4 レオナルド・ブルーニとフィレンツェ社会
5 プラトン主義の歴史性と古典
第三章 共和政的自由と書記官長
1 自由と市民社会
2 フィレンツェ史に見る自由の内容
3 サルターティの政治思想と自由観
4 政治制度と権力中枢部
5 書記局とブルーニの自由観
第四章 メチェナティズモと知識人
1 親族・友人・隣人
2 フィレンツェ社会とパトロネージ
3 コムーネと個人
4 外来者とパトロネージ
5 フィレンツェ人とパトロネージ
6 政治とパトロネージ
第五章 メディチ体制下の市民的ヒューマニストと新文化
1 パルミエーリの生い立ちと人脈
2 公生活と政治信条
3 アッチャイウォーリの人となり
4 文化状況と教授招聘
5 大学人アルギュロプーロスと新哲学文化
6 市民的ヒューマニズムと現実政治
結語
あとがき
注
一次文献:原典(イタリア・ルネサンス研究)
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根占 献一
1949年生まれ。西洋史家。学習院女子大学名誉教授。専門はルネサンス文化史、思想史。
早稲田大学第一文学部(西洋史)、同大学院文学研究科修士課程、同大学院同研究科博士課程満期退学。文学博士。
著書に、『イタリア・ルネサンスの霊魂論』(編著・編訳) 『ロレンツォ・デ・メディチ』(マルコ・ポーロ賞)『東西ルネサンスの邂逅』『フィレンツェ共和国のヒューマニスト イタリア・ルネサンス研究 [正]』『共和国のプラトン的世界 イタリア・ルネサンス研究 続』『ルネサンス精神への旅』『イタリア・ルネサンスとアジア日本』『ルネサンス文化人の世界』など、
訳書に、クリステラー『イタリア・ルネサンスの哲学者』(共訳)『原典イタリア・ルネサンス人文主義』(共訳)『原典ルネサンス自然学』(共訳)ハービソン『キリスト教的学識者』(共訳)などがある。