【内容紹介・目次・著者略歴】
優柔不断で場当たり的とみえる戦後の日本人の生き方を普遍的な言葉として語る時、市場経済は一つの社会哲学たりうる――これが本書のメッセージである。自由社会の枠組としての市場経済に参加することによって、公共的なバランス感覚を身につける。それが、覇権を求めない国民が民族の相対性を自覚した時に求める実践としての哲学である。多様な生を切り拓こうとする生活者の視点から市場経済の哲学を構想する現代自由学芸の騎士がわれわれに生きる勇気を呼び覚ます。
【目次より】
序文
第一部 市場経済についての対話
プロローグ
第一章 市場経済の本質:競争・対話・コミュニケーション
問題の提起:自由競争とは? 自由競争とルール など
第二章 市場経済と市民社会:理性・空気・寛容
市場の理性と市民の理性 公共性への疑問 など
第二部 市場倫理学
第一章 市場倫理学の基礎
第一節 倫理問題について
自由のルール化と合理的信頼の形成 ジレンマの中の自己決定と信頼
第二節 市場倫理とはなにか?
市場倫理と市場原理 市場倫理と共同体の倫理 など
第二章 市場倫理の概念
第一節 市場倫理の規範構造
フェアな競争の感覚 公正の概念 企業家精神 など
第二節 市場経済の批判者達
アウタルキーの概念 市場経済の限界
第三章 市場経済と合理的信頼
合理性の概念 オープンな信頼の概念
第三部 寛容論
第一章 なぜ寛容が必要なのか?
第一節 寛容と社会参加
寛容と不寛容の深層心理 など
第二節 多元主義について
多様性と秩序 寛容の戦略
第二章 寛容の戦略
第一節 生活者の参加のための戦略
戦略の概念 参加の概念 生活者の概念 など
第二節 生活者の概念とAgencyの概念
第三章 寛容の目的
第一節 寛容の三つの立場
寛容と不信 賢慮の立場 真理の立場 など
第二節 寛容の戦略とその目的
第四章 誰がこの戦略をどのように担うのか?
第一節 戦略の担い手
自由の相互調整とミルの原理 など
第二節 《国家》と中立性
リベラルな中立性について 寛容の戦略と《国家》の中立性
第三節 寛容の限界
寛容の限界 不寛容と原理主義
注
参考文献
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桂木 隆夫
1951年生まれ 。法学者。学習院大学法学部教授。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻博士課程修了。法学博士。専門は、法哲学・公共哲学。
著書に、『自由と懐疑、ヒューム法哲学の構造とその生成』『自由社会の法哲学』『市場経済の哲学』『自由とはなんだろう』『ことばと共生』『保守思想とは何だろうか』などがある。