【内容紹介・目次・著者略歴】
有名パブリック・スクールの多くは、チャリティ(市民公益活動)によって創設された基金立学校である。19世紀教育改革期、国民教育全体の原資として再編が期待されたにも拘わらず、基金立学校はなぜ中流階級の中等教育機関として、国家統制を回避し独立セクターの中にその公益性を閉じ込めることになったのか。その過程を階層統合の挫折として捉える本書は、王立委員会報告書など公文書からその実態を解明する。教育理念・教育内容を巡る問題を、従来看過されてきた財政基盤との関わりで法制史的に論じた教育史の労作。
【目次より】
はしがき
序論 問題の所在と研究課題の設定
第I部 一九世紀初期基金立学校の実態と再編課題
第一章 基金立学校の基本的形態
第二章 基金立文法学校における「エルドン判決」の意義
第三章 基本財産(endowment)をめぐる論争
第II部 チャリティの監督機関の創設と基金立学校の改組構想
第四章 産業社会におけるリベラル・エデュケーション論争
第五章 チャリティ監督機関の設立と中流階級教育の高揚
第六章 基金立学校の改革構想
第III部 基金立学校の再編過程と二元的セクターの形成
第七章 基金立学校委員会(一八六九─七四年)の政策執行とその性格
第八章 基金立学校への公費補助
第九章 中等教育における公的セクターの成立
結論
あとがき
年表
文献一覧
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宮腰 英一
教育学者。東北大学名誉教授。東北大学教育学部卒業。専門は、教育学、教育社会学。
著書に、『比較教育学事典』(共編者)『学校と大学のガバナンス改革』(共著)『比較教育制度論』(共著)『19世紀英国の基金立文法学校』『地方教育行政の研究』(共著)『イギリスにおけるIB校と多文化教育に関する調査研究』『校舎が変わる』『国境を越える子どもたち』『国際バカロレア』『地方教育行政と学校事務』『国際的学力の探究』(共著)『現代日本の教育と国際化』(共著)などがある。