【内容紹介・目次・著者略歴】
六朝隋唐期の中世600年に及ぶ時代を対象に、人々の日常に息づく「罪の意識」に光をあて、幅広く多様な中国人の宗教意識を見事に描き出す。儒・仏・道の三教に亙る広範な文献を渉猟しつつ、罪意識と贖いの儀礼を通して、中国社会に通底する宗教の深層構造を初めて本格的に明らかにした問題作。
【目次より】
序章 『後漢書』楚王英伝から
I 静室 懺悔の場
一 静室の諸相とその展開
二 静室内のしつらえ
三 静室における儀礼
四 精舎と静室
五 請室と静室 俗から聖ヘ
II 罪の懺悔
一 罪目
二 道教徒の懺悔 とくに王義之の場合
三 仏教徒の懺悔 とくに沈約の場合
四 王微の「告霊文」
III 償債と謫仙
一 輪廻応報の思想
二 禅録のなかの償債
三 『高僧伝』のなかの償債
四 道教における償債
五 謫仙
六 『高僧伝』神異篇
七 全真教の場合
IV 宗教に傾斜する心性
一 漢代人の遺言・遺書と沐並の「終制」
二 遺言・遺書のなかの仏教
三 皇侃の『論語義疏』
四 出家の動機
注
あとがき
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吉川 忠夫
1937年生まれ。東洋史学者。京都大学名誉教授。専門は中国中世思想史。
京都大学文学部史学科卒業、同大学院文学研究科を単位取得退学。
著書に、『劉裕』『王羲之』『侯景の乱始末記 』『六朝精神史研究』『中国古代人の夢と死』『秦の始皇帝』『書と道教の周辺』『古代中国人の不死幻想』『三余録』『中国人の宗教意識』『読書雑志』『顔真卿伝』『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』『六朝隋唐文史哲論集I 人・家・学術』『六朝隋唐文史哲論集II 宗教の諸相』『三余続録』など、
訳書に、『魏晋清談集』班固撰『漢書五行志』(共訳注)『弘明集 広弘明集』范曄『後漢書(全10巻)』(訓注)慧皎『高僧伝 全四巻』(共訳注)ジョゼフ・ニーダム『中国の科学と文明 第2・3巻 思想史』(訳者代表)などがある。