【内容紹介・目次・著者略歴】
道学の創立者は従来周敦いであると語られてきたが、史実に照らせばその淵源は二程、特に程いの学派であり、周程間に思想の授受は存在しなかった。著者は、朱熹の道統観を軸とする伝統的見方を排し、道学内部の思想的自己展開や、仏教・道教また王安石・蘇軾という外部を意識した思想的言説の展開を綿密に辿って道学形成史を再構成する。初期道学系の儒者に共通する万物一体観を「理一」として提示しえた程いの思想こそ、中央と在野両方の士大夫に存在理由と行動原理を与えた宋代思想の始まりであった。道学の基本的性格とそれを生み出した思想的社会的土壌、そして一個の学派として成長し勢力を伸張していく過程を壮大に描く画期的宋代思想史。
【目次より】
引用について
序章
第一節 宋代思想史研究の根本問題
第二節 道學研究の根本問題
第一章 北宋の思想運動
第一節 慶暦前後に至る思想動向
第二節 欧陽脩 中央の動向
第三節 陳襄 地方の状況
第二章 二程の先行者
第一節 胡〓 程頤の師
第二節 周程授受再考
第三節 宋代思想史上に於けるcの位置
第四節 二つの太極図
第三章 程〓の思想の基本構造
第四章 程頤の思想と道學の登場
第一節 程頤の思想に於ける「理一」の性格
第二節 「理気二元論」観の検証
第三節 程頤『易伝』の思想
第五章 道學と佛教・道教
第一節 道學と佛教に於ける議論の場と範疇
第二節 道學と華厳教學
第三節 死の問題から見た道學の佛教批判
第四節 二程の気論と道教
第六章 対立者の思想
第一節 王安石に於ける學の構造
第二節 蘇軾の思想的輪郭
第七章 道學の形成と展開
第一節 晩年の程頤
第二節 楊時の立場
終章
第一節 道學史上に於ける朱窯の位置
第二節 朱熹道統論の性格
注
後記
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
土田 健次郎
1949年生まれ。中国・日本の思想研究。元早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学・早稲田大学)。早稲田大学文学部教授。専門は、宋代の中国思想と江戸時代の日本思想。
著書に、『道学の形成』『儒教入門』『江戸の朱子学』『朱熹の思想体系』など、
訳注書に、山鹿素行『聖教要録・配所残筆』朱熹 『論語集注』などがある。