【内容紹介・目次・著者略歴】
アリストテレスの第一哲学は、普遍的な学としてのオン(存在)の学と神学という二側面からなる。オンの学はあらゆる学問の基礎をなし、それを基に自然学や倫理学など部分的な諸学としての特殊学が成立する。神学はこれら諸学を統一する要をなし、更にオンの学と神学とは実体論を介して関連づけられる。これら存在・神・実体の諸概念の関連を全体的に考察するとともに、プラトンのイデアの離存性との対比を交えつつ、アリストテレス哲学の基本構造を明らかにした本格的業績。ヨーロッパの学の基本に関わる本書の考察は広くヨーロッパの思想文化を考えるうえでの基本文献となろう。
【目次より】
著作名略記一覧
序
第一章オン(on)の学について
1 第一哲学におけるオンの学と神学との関係
2 pros en(プロス・ヘン)形式
3 基礎論としてのオンの学 部分的な学との関係で
など
第二章 実体論1 実体の三層について
1 より先ということの意味の確定
2 第一実体(e prste ouiia)は三つの層において言われる
3 属性的存在との対比で、基体(可感的実体)は第一実体と言われる
4 基体を第一実体とすることから、基体の構成要素たる形相を第一実体とすることへの移行
5 形相は質料より先とされている箇所
6 形相は質料より先であることの根拠 その一
など
第三章 実体論2 「普遍的なものは実体ではない」ということについて
1 プラトンのイデア論をアリストテレスはどのように捉えているか
2 『形而上学』Z巻一三章で、「普遍的なものは実体ではない」ということがどのように論じられているか
3 「普遍的なものは実体ではない」ということについての別の観点 類と質料との類比関係
など
第四章 神学 自然概念が神概念との関係でいかに規定されているか
1 不動の動者とピュシス(pusis)について
2 ピュシスについての規定
3 総観されたピュシス
など
第五章 神学2 現実態の質を問うこと、自足性概念、倫理学との関係で
1 『自然学』Th巻と『形而上学』L巻とにおける神概念
2 運動とは何か
3 魂の働きは運動ではない
など
第六章 アリストテレス哲学におけるヒュポテシスについて
1 ゆるやかな意味では、ヒュポテシス、定義、テシス(thesis)は区別されていないこと
2 ヒュポテシスと同類の語あるいは事柄
3 アリストテレス哲学における原理的命題がヒュポテシスとされている具体例
注記
あとがき
使用文献表
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池田 康男
1938年生まれ。哲学者。高知大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士課程退学。専門は、ギリシア哲学。
著書に、『アリストテレスの第一哲学』など、
訳書に、アリストテレス『トピカ』アリストテレス『生成と消滅』アリストテレス『天について』などがある。