名も知らない女性の人生を、尊厳を傷つけた。
過去の強姦を告白し、婚約者と家族から断絶された男は、
謝罪のために事件を公表し、被害者探しを思い立つ。
せめて罰を受けさせてくれ
罪とはなにか。その罪に許しはあるのか。
『死にたくなったら電話して』の著者が突きつける、このうえなく深い問い。
「謝るというのはある種傲慢な行為であって、自分の本来の気持ちばかりがどうしても滲み出てくる。
それを含めて書いているのが巧みだと思った」
高山羽根子
「性被害については、どうしても被害を受けた女性側が語る立場に置かれることが多い。男性側がポロッと発語することで露わになってしまうもの、発語した瞬間に生じる社会との摩擦といったものがちゃんと書かれている点を最大限に評価したい」
倉本さおり
「この作品には、出来事を終わらせないことの倫理観はあった」
矢野利裕