彼の心にはいつも亡き妻がいる。結婚しても私は真の妻にはなれない……。
過ちを犯した父のせいで国を追放されたナタリヤ。帰国の条件は、母国と緊密なミルス王国の王子と結婚すること。だが当の王子はナタリヤには興味がないと結婚を拒み、代わりに王子の兄、国王であるニコライが名乗りを上げた。彼こそナタリヤの初恋の人で、今も密かに憧れている相手──5年前に最愛の妻を亡くして以来、浮いた噂一つなかったのに。戸惑う彼女にニコライは断言した。「君にはこの道しかない」私と結婚したがるのはなぜ? 急いで世継ぎが必要だから?恋心を胸に秘め、彼女は愛されない花嫁になることを決めた。
■地中海に浮かぶヴォリャルス王国が舞台の、華麗なるロマンスを描いたミニシリーズ、〈愛と継承のはざまで〉の関連作をお届けします。初恋の人からの、思いがけないプロポーズに心が揺れるヒロイン。しかも、彼はなぜか指一本触れてもくれなくて……。