20もの異なった顔を持つ変装の天才が、連日新聞記事を賑わし、東京中の話題となっていた。その人物は年齢性別に関係なくどんな人間にでもなりすますことができ、誰も本当の顔を誰も見たことがないために怪人二十面相と言われているのだが、宝石や美術品といった高価で美しいものばかりを盗みまくっているのだった。事前に犯行を予告しておいて、狙ったものを見事に奪い去っていくという大胆さが、人々に驚きを与え、恐怖をあおり立てているのである。警察でさえも捕まえることができないでいるこの怪盗が新たに目をつけたのが国立博物館所蔵の美術品だった。しかも予告文には一つ残らず奪ってみせると書かれている。こうなると、頼れるのはもはや日本一の名探偵明智小五郎をおいて他にない。明智の助手をつとめる小林少年と少年探偵団の面々も縦横無尽の働きを見せる。こうして悪と正義の火花を散らす戦いが始まった!