《これは、みんなでつくる本です。お金はいただきません。
自由に持ち帰って、あなたの好きなお話を書いてください。
書き上げたらまた、本棚にもどしておいてください。
だれかがきっと、そのつづきを書くでしょう。》
本をひらくと、とびらのページに、そう書かれていた。
──だれにも話せないことを心にかかえていた伊藤みなみは、
「お話」として、書いておくことならできるかもしれない、
もしかしたら雄大が見つけてくれるかもしれない?と
ブックカフェの本棚でみつけた白い本に最初の一行を書いた。
ちょうど一年前の、なかよしでむじゃきだった四人組のお話から、
えんぴつを握りなおして、伊藤みなみを変身させて。