リーダーシップという言葉が一般的となり、学術的にも実務的にも、多種多様なあり方が提示されている。だが、リーダーシップとは何かと尋ねられ、きちんと答えられる人は少ないだろう。組織行動論が専門である筆者は、それを「集団のメンバーが目標達成に結び付く行動を促していく能力」だと述べる。では、まだ答えのないような困難な状況を迎えた場合、どのようなリーダーシップが必要なのか。そこには、少数のリーダーや専門家だけの力だけではなく、困難に直面する人々すべての力が求められる。つまり、フォロワーの自律的な協働によってこそ困難を克服できる。これまでのリーダーシップ論を整理し、自律的に協働するようチームの行動を促すため、リーダーが行うべきことを明らかにする。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年7月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。