他社とビジネスを始めると、些細なすれ違いが重大なトラブルを招くことは珍しくない。そのため契約を締結する時には、あらゆる事態を想定して、相手より少しでも優位に立てるような条項を大量に盛り込むことが一般的だ。だが、争いを前提とした関係性を築いてしまうと、自分たちに不利益な行動を選択させる動機を与えかねない。筆者らは、このような「取引的契約」ではなく、当事者同士がビジョンを共有することで利益相反を防ぎ、かつ法的な強制力を有する「関係的契約」から始めることを推奨する。本書では、契約理論の研究でノーベル経済学賞を受賞したオリバー・ハートら執筆陣が、この新しい関係性を構築するうえで有効な5つのステップを示す。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年2月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。