互いのキャリアをそれぞれが実現しようとするカップルを、企業はどう支援できるのだろうか。自身もそのような「デュアルキャリア・カップル」の一人であり、ユニリーバ・ジャパンで先端的な人事施策に取り組んできた筆者は、いつでもどこででも働けるという画期的な人事制度を導入した。すると、社員一人ひとりがなぜそこで、どのように働くのかに意識が向き、結果として生産性向上につながった。同時に、自分で決めて選択できるという事実が社員の中にポジティブな感情を呼び起こし、企業への貢献度や意欲を高めた。その本質は、制度というものは自分の強みや「自分らしさ」を考えさせるための手段にすぎないということ。ポジティブ心理学を学ぶ筆者が新しい職場のあり方、人材育成のあり方について述べる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2020年2月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。