「有限体」をご存じでしょうか?
決闘による壮絶な最期を迎えたことで知られる数学者、エヴァリスト・ガロアが最初に発表したことから、「ガロア体」ともよばれる有限体は、四則演算が定められた有限集合です。
私たちが慣れ親しんでいるふつうの数の世界では、1 を繰り返し足していくと、2、3、4、…と、新しい数がどんどん生まれていきます。しかし、有限体がつくり出すのは、たとえば1 + 1 = 0 が成り立つ世界です。
そこは、0 と1 だけの2 個の数の世界で、素数2 によってつくりだされます。このような数の世界は、個々の素数ごとに広がっていて、たとえば素数3 は、1 + 2 = 0 の世界をつくります。
数の個数が有限個に限られた有限体の世界でも、数論、代数や幾何など、深みのある数学が展開します。
ガロアが見出し、進化させた「新たな素数の世界」とは、どのようなものなのでしょうか?
本書では、有限個の数の世界=有限体の中に無限に数学が広がっていることを紹介します。
【もくじ】
〈第1部 1+1=0の世界──素数のふしぎなはたらき〉
第1章 ふしぎな国のふしぎな計算
第2章 四則演算からの風景
第3章 0と1の幾何学
第4章 美しい平方数の世界
第5章 方程式からの眺望
第6章 平方数を超えて
第7章 「有限個の数の世界」と「ふつうの数の世界」
〈第2部 ガロアが創った新しい世界──数の進化を考える〉
第8章 ガロアの虚数
第9章 p乗の魔法
第10章 有限体上の楕円曲線
【著者紹介】
西来路文朗(さいらいじ・ふみお)
1969年、広島県生まれ。大阪大学大学院理学研究科博士課程数学専攻単位取得退学。博士(理学)。専門は整数論。賢明女子学院中学校・高等学校の教諭を経て、現在、広島国際大学看護学部看護学科教授、広島大学客員教授。著書に『Liberal Arts 基礎数学』(京都廣川書店、青木宏光氏との共著)がある。
清水健一(しみず・けんいち)
1948年、兵庫県生まれ。岡山大学理学部数学科卒業。博士(理学)。専門は整数論。賢明女子学院中学校・高等学校の教諭を経て、現在、岡山大学客員教授、岡山理科大学非常勤講師。著書に『大学入試問題で語る数論の世界』『美しすぎる「数」の世界』(ともに講談社ブルーバックス)がある。
二人の共著による『素数が奏でる物語』『素数はめぐる』(いずれも講談社ブルーバックス)も好評。
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