かつて大企業組織の中心にあった総務、財務、人事、営業などの職能部門。しかし競争の激化に対応するために、各製品の戦略と責任を明確にする目的で製品別の事業部門が置かれ、職能部門は各分野の専門特化、効率性や整合性の向上を目指して中央に設けられるようになった。このように組織が進化していく中、戦略の理論と実務はもっぱら製品ラインに照準を合わせ、各職能分野はなおざりにされてしまった。こうした状況に警鐘を鳴らすのが本書である。筆者たちは、職能部門においても戦略を持つことの意義を説き、フォーシーズンズの人材部門を例に、職能部門の戦略が事業に好影響を与えることを示す。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2019年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。