月の妖精が奏でる旋律が、傲慢な富豪の心を開かせた。
事故で記憶喪失になった親友を見舞ったリオは、親友の兄で会社社長のリュサンドロスとでくわし、動揺した。6週間前まで二人は熱いデートを重ねていた。ところが、彼に純潔を捧げようと心に決めた日、リオは不運にも暴漢に襲われてしまう。リュサンドロスに会う勇気はなく、真実も告げられぬまま、泣く泣く姿を消したのだった。うつむく彼女に、リュサンドロスは意外な言葉を投げかけた。「妹が記憶を取り戻すまで、恋人のふりを続けてくれないか」胸に広がる切ない痛みを抑えて、リオは黙ってうなずいた。
■ハーレクイン・ロマンスの定番テーマ“偽装恋人”を、レイチェル・トーマスが涙を誘う感動作へと昇華させました。とくに印象的なのは、ヒロインがヒーローのためにピアノで《月光ソナタ》を弾くシーン。まるで映画のように美しく、心を揺さぶられます。