自分を見失った男たちへのレクイエム
組織は、あなたからどこまで奪うのか!
メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。
「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平
【プロローグより】
「まず、君の手柄は、すべて私の手柄にする。いいな」
「はっ」
「それから、私の失敗は、すべて君のせいにする」
竜崎はおおきな執務机の前に寺田を立たせたまま、椅子の背に悠然と身体を預けていた。
「ただ、心配する必要はない。
君も、君の部下に同じようにやればいい。
それが銀行だ」
(引用ここまで)
舞台はメガバンク、主人公は広報部長――
裏切り者は、中(なか)にいる!
元共同通信日銀キャップが書く
巨大銀行の仁義なき権力闘争
息をのむ裏切りの連続
最後に立っているのは、誰か――
【ストーリー】
AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に
社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。
吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく。