あらすじ企業名ではなく個人の名前で勝負する時代。SNSで自分を積極的に発信する時代。その表現はさまざまだが、現代社会では自分らしさに価値を見出し、それを武器に戦うことが要求される。しかし、「自分とは何か」という問いをいくら突き詰めても「わたし」は見つからず、その先には苦しみしか訪れない。東京大学東洋文化研究所の中島隆博教授は、そう警鐘を鳴らす。近代哲学の賢者たちは、この難題とどう向かい合ってきたのか。その歴史を読み解く過程で、マインドフルネスやセルフ・コンパッションという禅の思想が注目を浴びる背景が明かされる。 *『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2019年5月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。