ボストンに本拠地のある金融グループ、ステート・ストリートのCEO、ジョセフ・フーリーは、これまで協力してきた公教育関連の官民連携事業が思うような実績を上げていないことに気づく。そこでフーリーは複数の非営利団体を巻き込んで、ステート・ストリートならではの人材育成プログラムを立ち上げた。ボストン・ウインズと名付けられたこのプログラムは、都市部の公立校に通う青少年に良質な高等教育を与え、就職までサポートしようというものだ。これは経済成長の促進や犯罪率、失業率の低下など社会問題の解決にも寄与するだけでなく、ステート・ストリートにとってもよい人材の確保というメリットがあった。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2019年2月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。