午後5時からは、ひとつ屋根の下。尊敬するボスとの偽りの恋……。
秘書のアビーが高名な富豪弁護士グレイの下で働き始めて1年。ボスは傲慢で実に扱いにくい半面、とても優秀で魅力的な男性だ。そんな彼が求める秘書であろうと、アビーはしかつめらしい服に眼鏡とひっつめ髪のスタイルで、有能な仕事ぶりを見せていた。だがある日、ボスの予定帳に書かれた取引相手の名に、激しく動揺する。二度と会いたくないと思っていた、卑劣で薄情な元恋人……。やむをえずグレイに事情を話し、もうここにはいられないと告げると、ボスは僕たちが公然と同棲すれば、相手は手出しできなくなると言う。二人で寝食をともに……? 戸惑いを見せるアビーに、彼は釘を刺した。「ベッドの心配なら無用だ。君は僕の好みじゃないから」
■1980年代にダイアナ・ブレイン名義で書かれた、貴重な作品の初邦訳です。見せかけの恋人関係をスタートさせた二人。偽りのはずなのに、アビーがよかれと思ってしていた地味な外見に、グレイが物申して……。本気になってはいけない、切ない恋の物語をどうぞ。