10月20日の西川善文・日本郵政社長の電撃的辞任、政権交代後の初めての臨時国会の開催。一言で言えば、こうした民主党政権の先行きを占うギリギリの最新情報までも取り込んだのが、類書には見られない本書の最大の特色だ。
小泉・竹中改革に対する批判は、鳩山由紀夫民主党政権が誕生した後もエスカレートする一方である。現在の日本が抱えるすべての問題の元凶が小泉・竹中改革にあったかのように非難する無節操な新政権の閣僚やTVコメンテーター、「100年に1度だから」「マニフェストに書いたから」という"錦の御旗"ですべての財政バラマキを正当化しようとした(している)麻生前政権や鳩山新政権の政策の有り様、10年先を議論すべき大事な時期に重箱の隅を突くような"批判のための批判"に明け暮れるマスコミ……、こうした現状は、日本の経済論壇における政策論議の"長期的衰退"を物語る。
本書はこうした現状に一石を投じ、議論の活性化を目指す。
筆者は、小泉純一郎元首相の政界引退、先の総選挙における自民党敗北と、改革派・小泉チルドレンの消滅などで、今や孤立無援の竹中平蔵氏。小泉・竹中改革に対するいわれなき批判への反論、赤信号が灯った郵政民営化への怒り、逆行する政策金融改革への失望、民主党政権の「官僚による"脱官僚"」の矛盾、霞ヶ関(特に財務)官僚復権への悲憤……改革を主軸にすえた骨太の議論を展開する。政策の立案や実行の現場にいた竹中氏ならではの歯切れのよい議論や、首尾一貫したブレない政策スタンスが、読者の支持を得ることは間違いない。