経営幹部候補にさまざまな部門や職務を一通り経験させるというのは、よくある人材育成の方法だが、これは時に海外を含む転勤が必要になる。しかし、ともにキャリアを持ち成功を収めたいと考えている夫婦が増えている今日では、このやり方が難しくなりつつある。夫婦の一方の転勤は一方のキャリアを損ねるからだ。それを避けたい夫婦は現在の会社でのキャリアを諦め、転職を考えたりする。企業側にとっては優秀な人材の流出にもつながってしまう。本書では、こうした若い有望な人材に起こりがちな、共働き夫婦のキャリアの問題に配慮する方策を提示するとともに、まずは柔軟な働き方を受け入れる企業文化の大切さを説く。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2019年1月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。