あらすじ常務の彼を、多くの社員はまだ「英三さん」と呼んだ。経営者の一族でありながら、工場育ちで飾り気のない人柄がそう呼ばせた。戦後、退社を決意していた彼を会社に引き戻したのは、心情を一にしていた部下たちだった。しかし競争激化、新製品開発、流通改革の戦後史は熾烈だった。花王石鹸元社長・伊藤英三を描く傑作評伝小説。逞しくも爽やかな男の一生!