その乙女を彼はとらえた。いつしか恋に落ちるとも知らず――USAトゥデイベストセラー作家が紡ぐハイランド・ロマンス。
1727年スコットランド。雨降りしきるその日、カーライル一族の氏族長ダンカンは道に倒れていた女性を助けた。潤んだ金色の瞳にいかにも儚げな風貌には見覚えがあった。彼女こそ一族の憎き宿敵、アバフォイル伯爵のひとり娘カトリオナだ。ひとまず私怨は脇に追いやって娘を介抱してやるが、まもなく、どうやらカトリオナが事故か何かに遭っていっさいの記憶をなくしていることに気づく。これは神が与えてくれたチャンスだ――ダンカンは弱りきったカトリオナを一族のもとへ連れ帰ることにした。伯爵に復讐するための人質として。