あらすじ太宰治をして「この荒れ果てた竹藪の中にはかぐや姫がいる」と言わしめた「空吹く風」、戦後の混乱の中で春をひさぐ女たちに真実の愛を夢想する「暗黒天使と小悪魔」、運命の女との愛欲の果てに傷害事件に至る顛末を描いた「愛と憎しみの傷に」。共産党の活動など生きる意味への絶望ゆえか女に溺れ、薬と酒で破滅へと突き進んでいく自らの姿を見据え、人間の本性を浮き彫りにする小説集。