あらすじ◆1926年の英国に打ち寄せる、時代の奔流。伯爵の嫡男への愛は、荒波に砕かれてもなお輝き……。◆英国に恐慌の不穏な空気が忍びより、没落する貴族も出始めた。時代は変わり、インガム家でも史上初めて身分差を超えた婚姻が結ばれた。セシリーの大叔母は変わらぬ忠誠心と深い愛で夫となった伯爵を支え、伯爵の娘たちもそれぞれに真実の愛を見つけ、束の間キャヴェンドンは婚約披露や結婚式に花が咲いた。輝くばかりの婚礼衣装はすべてセシリーの手によるものだ。花嫁のヴェールを直してやりながら、セシリーは涙を押し隠した。マイルスへの想いは変わらないが、彼との結婚は叶わない――セシリーの愛だけは、不毛なままなのだった。