企業文化とは構成メンバーの思考や行動に影響を与えるものだが、これには実は2種類ある、というのが筆者たちの指摘である。一つは「認知的文化」で、仕事の上での発想や行動を方向づけるものだ。もう一つは「情緒的文化」で、これによって職場におけるメンバーの感情の表出が決まる。ともすれば認知的文化のみが重視され、情緒的文化は見落とされがちだが、筆者たちの10年に及ぶ調査研究によれば、情緒的文化が従業員満足度やチームワーク、さらには財務業績などの定量的な面にも与える影響は大きいという。しかもヘルスケアなどの気持ちが重視される業界だけではなく、金融やコンサルティングなどの業界にも当てはまるという。本書ではこの情緒的文化に焦点を合わせ、そのマネジメントの方法を探る。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2016年7月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。