1980年頃から進んだ規制緩和や民営化は、民間部門の競争を促した。またほぼ同時期に新興国で都市化と工業化が進んだことは、新市場をもたらすとともに、投資を活性化させた。さらに新興国での労働力人口の増加やテクノロジーによる生産性の向上はコストの低減につながった。これらのことはすべて西側多国籍企業にとって追い風となり、1980年から2013年までの約30年間、収益増と利益増を享受できたのだった。しかし、この時代もそろそろ終わりに近づいている。本書は、この30年間を振り返るとともに、新興国市場出身の企業の台頭とデジタル技術を駆使した新たな企業の登場がもたらす脅威を分析し、これらに対抗する手段を論じる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2016年5月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。