◆ブランドン・ハミルトンはほくほくしながら、
ホテルのロビーを見渡していた。
これで、あとミズ・アンドレア・カニンガムが来れば、
この休暇中、ハミルトン・ハウスは満室になる。
改装してから初めての休暇で満室になるなんて、上出来じゃないか。
そのとき、ふと正面のドアを見たブランドンは目を疑った。
全身びしょ濡れで、今にも倒れそうな女性がロビーに入ってきたのだ。
あれがもしや、ミズ・カニンガムか?
休暇中だというのに顔には笑みも浮かべず、
刻々とふくらむ怒りを全身から発散させている。
「ああ、なんてことだ」そうつぶやいて彼が駆け寄ったとたん、
女性はその場で気を失った……。