「価値の創出」や「人材のモチベーション向上」といった目標はどこにおいても経営の核となるものだが、価値のとらえ方やモチベーション向上の適切な方法は、国や地域によってまちまちである。製造におけるベストプラクティスは、プロセスに多少の手直しを加えれば、どこでも通用すると考えがちだが、実際は抜本的な変更が必要になることも多い。ビジネススクールでの研究やケースの分析は、普遍的なマネジメントの知識を形にするものだが、異なる場所ではそれがまったく通用しないことも多いのだ。筆者は、これを乗り越えるのに必要な能力は「コンテキスト(状況・文脈)の読解力」だと言う。グローバル化に奮闘した企業事例を取り上げながら、コンテキストの読解力の重要性やそれを身につけるヒントを提示する。*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2015年07月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。