失敗は人生で最も一般的な心的外傷(トラウマ)の一つだが、それに対する人々の反応は実にさまざまである。短期間で回復するような、再起力に富む人もいれば、鬱状態に陥り、将来への不安に明け暮れる人もいる。あるいは、心的外傷を経て以前よりもよい状態(心的外傷後成長)を示す人もいる。ポジティブ心理学の生みの親である筆者らの30年間に及ぶ研究により、このような再起力は測定と教育が可能であることが示された。そして、アメリカ陸軍の「総合的兵士適応度」(CSF)プログラムにおいて、その仮説が検証されている。
ここでは、リーダーたちに学習性無力感、鬱状態や不安、失敗後のあきらめに対して免疫をつけさせ、楽観主義で物事を考えるよう教育する。また、強靭な精神、際立った強み、豊かな人間関係を構築することによって再起力を習得し、さらにその知識を部下に伝える方法を学ばせる。この画期的なプログラムは、企業組織の幹部研修にも応用できる。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2011年07月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。