イノベーションをめぐる世界が劇的に変化している。個人発明家が活躍した第1期、企業内研究所が中心だった第2期を経て、ベンチャー・キャピタリストの支援を受けたスタートアップ企業が登場したのが第3期である。その後、イノベーションが容易かつ低コストになり、大企業は起業家的な行動を採り入れ始め、大企業独自の強みを活かしたビジネスモデルのイノベーションが増えてきた。その結果、スタートアップ企業が優位性を持続しにくくなっている。第4期のいま、大企業内で起業家精神に富んだ「カタリスト」(触媒)を中心に、企業のリソース、規模、機動力を活かしてグローバル課題に取り組む、新しい形のイノベーションが生まれている。それには、オープン・イノベーション、意思決定の簡素化、失敗に寛容な文化など、カタリストが活躍できる環境を整備し、目的意識を持って取り組まなくてはならない。本書では、メドトロニック、ユニリーバ、シンジェンタ、IBMの事例を紹介する。*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年8月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。