◆サンチャのもとに、ある日、匿名の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは、夫が秘書の若い女性と逢瀬を重ねていて、
今夜も彼女の家で会うという衝撃的な内容だった。
まさかとは思ったが、確かに夫のマークはこのところ帰りが遅く、
夫婦の間もなんとなくぎくしゃくしているのは否めない。
その夜、思い悩んだ末にサンチャは、秘書の家に電話をしてみた。
すると、受話器の向こうから聞こえてきたのは、紛れもなく夫の声。
あわてて電話を切り、目を閉じた。ああ、なんてこと……。
嫉妬が全身をむしばみ、悲しみと怒りが心を苛む。
その日から、サンチャの結婚生活は苦痛に満ちたものになった。■ゆるぎない幸せなんて、嘘。愛し合っていたはずなのに、たった
1通の手紙が日常を破綻させる――シャーロット・ラムの鋭利な筆で
綴られると、何気ない夫婦生活も歪んだ硝子の迷宮に変わります。
はたして真実は……愛する夫は本当に妻を裏切ったのでしょうか?