◆どうしてわたしを責めるの?裏切られたのはこっちのほうなのに。■「モライアか?」受話器の向こうから男らしいバリトンの声が聞こえてきたとたん、モライアの心臓は止まりそうになった。ケイン・ハンター。わたしが愛した、ただひとりの男性。高校時代に彼と出会い、一カ月間情熱的に愛しあった。だがそのあとメディカルスクールに戻った彼とまったく連絡がつかなくなり、絶望したモライアは逃げるように故郷の町ホワイトホーンを出た。そして娘を産み、今日までひっそりと暮らしてきたのだ。ケインは、モライアの父親が行方不明になったので捜索のために戻ってくるように言う。思わず悲痛な声をもらした彼女に、彼は冷たく言い放った。「きみの芝居には二度とだまされないぞ」