マネジメントとは組織で最も非効率な活動かもしれない。
部下の仕事を監督する時間は膨大であるうえ、コストがかかり、
マネジャーの人数に比して意思決定や対応も鈍重になる。
取引コストの点から、
組織ではなく市場の調整力を評価する経済学者もいるが、
市場は複雑な活動を処理するのは不得手である。
では、マネジメントを担う上層部がいなくても優れた調整ができ、
階層組織と同じような統制を保ちつつ、
開放的な市場並みの自由と融通性を享受できたらどうだろうか。
マネジャー抜きでもマネジメントが実践できれば、
素晴らしいことだろう。
こんな夢のようなマネジメントを実践しているのが、
世界最大のトマト加工業者、モーニング・スターである。
同社にはマネジャーと呼ばれる人はおらず、階層はない。
自主管理の下、だれからの指図も受けずに
各ステークホルダーとのコミュニケーションと調整を図る。
同社で実践されている自主管理の方法と、
その長所と短所を解説しながら、
この新しいマネジメント・モデルの未来を探る。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2012年4月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。