不安定な環境下でも
長期的に着実に成長を続ける高業績組織とは、
どのような企業だろうか。
調査によれば、売上高や利益を10年連続で毎年5%以上伸ばした
アウトライヤー(異例値を示す)企業は驚くほど少なく、
その成長の理由は通説に反して、
業界、規模、本拠地、操業年数、
グローバル化の度合いなどでは説明できない。
これらの企業に共通するのは、
積極果敢な側面と安定重視の側面を合わせ持つことである。
投資は早期に小さく行い、積極的な買収策を取る。
主要な資源配分を一元管理し、
日々の業務にイノベーションを組み込むなど、
迅速かつ柔軟に動ける体制にしている。
その一方で、企業文化や共通の価値観を重視し、
急激な事業再編は回避する。
優れた人材を手放さず、経営者は内部昇格者である。
そして、安定した顧客ベースを持ち、
基本戦略は安易に変更しない。
本書では、
このような2つの矛盾した特徴が
いかに安定した成長につながるかについて、
該当企業の事例を用いながら解説する。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年1月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。