リーダーとマネジャーの役割の違いについて論じた論文は多い。
古くはHBR 1977年5‐6月号で発表された
アブラハム・ザレズニックの論文は、
心理学の知見を基に目標や仕事観、
育成方法などにおける両者の違いを明らかにし、
その後のリーダーシップ開発に大きな影響を与えた。
本書は、リーダーシップ論のグールーである筆者が
90年に発表したものである。
リーダーシップとマネジメントは
共に複雑なビジネス環境のなかで欠かせないものであり、
補完関係にあるとする。
複雑な状況にうまく対処することが
マネジメントの役割であるのに対し、
リーダーシップの役割は
変化にうまく対処することであるという。
新しい環境に適応し、
競争を勝ち抜くために大規模な変革が必要になれば、
それだけリーダーシップが求められるようになる。
さらに、
リーダーシップとマネジメントの役割を
「方向性の設定」と「計画と予算の策定」、
「人心の統合」と「組織編成と人員配置」、
「動機づけ」と「統制と問題解決」と対比させて論じ、
最後にリーダー育成の企業文化を
醸成することの重要性を指摘している。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2011年9月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。