貨幣とは、経済の中でどのような意味を持つ存在なのか。
20世紀初頭に「貨幣数量説」がひとつの完成形に到達し、それは1970~80年代のマネタリズムへ、その後の合理的期待学派や新しい古典派マクロ経済学へと引き継がれた。
それらの理論のコアが、「貨幣の中立性」「古典派の二分法」という考え方である。
一方、貨幣数量説的な立場に対しては、それぞれの時代において多くのアカデミックな論争が展開された。
2000年代以降は、金融市場における危機が実体経済に悪影響を及ぼす事態も観察されている。
本書はそのような今日的な問題意識に立って、貨幣と貨幣数量説の意味を、経済史・経済学史の中で追究している。