成熟市場における消費者の嗜好は、
かつてないほど多様化している。
消費者のニーズは一人ひとりすべて異なると考えられ、
いち早く察知することに企業は躍起になっている。
くわえて、ビッグデータなど情報収集ツールの進化によって、
個人の消費活動が詳細かつ正確に捕捉できるようになったことも、
その傾向に拍車をかけている。
しかし、本当にそれで消費者の心を射止めることができるのか。
消費者は自分自身の本心を把握しているとは限らない。
気づいていないことは、
いくら聞かれても答えられないのである。
マーケティング・リサーチの結果をうのみにすることは危険である。
本書では、むしろ人間の本質を見極めたうえで、
社会の環境変化からニーズの変化を探り当てることが大切であり、
それこそが本来のマーケティングであると説く。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年10月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。