◆この男のもとに送りこまれたのは、花嫁候補として考えられているからだろうか。■母を看取ったあと、キャットには住むところも職もなかった。理学療法士をしていた病院には彼女の戻る場所がないうえ、家は、母の借金の返済にあてるため売らざるを得なかった。途方に暮れていた彼女は、ドルシラと名乗る女性の訪問を受ける。ドルシラは母と同窓生だと言い、住み込みの仕事を申し出た。事故で重傷を負った息子のマットが退院し、自宅でリハビリすることになったので、理学療法士が必要だという。引き受けたキャットは、さっそくドルシラの別荘に向かった。母親に療法士を探してもらうくらいだから、マットは気が弱い甘ったれの男性にちがいない。そう思っていたキャットは、彼を見て驚いた。ハンサムでたくましいマットは、理想の男性そのものだったのだ。だが彼は不機嫌そうにキャットをにらみ、契約打ち切りを宣言した。