◆理想の男性が今、目の前にいる!ホリーがそう思った矢先……。■荒涼とした十一月のイギリス。だが、ホリーの心は温かかった。ラブレース・ブライダルショップ――ついに自分の店を開けるのだ。すべての女性を、まばゆいほど美しい花嫁に変身させる店。ホリーがデザインしたウエディングドレスはここで売られ、愛と希望を包みこんで花嫁から花嫁へと伝えられる……。店の前でぼんやりと夢の中を漂っていたホリーは、通りかかった男性を見てぽかんと口をあけた。これほど魅力的な男性は見たことがない!ひそかに夢見てきた人が、現実に目の前に現れたようにさえ思える。彼のほうも、催眠術にかかったように茫然とホリーを見つめている。ところが、彼はホリーが無断で不動産業者と店の賃貸契約を結んだと知り、敵意をむき出しにしてにらみつけてきた。ホリーは、彼が店の家主だと知り、とたんに警戒を強めた。彼はどういうつもり? まさか契約を認めないなんて言いだすのでは?