従来のデータベース管理システムでは
扱い切れないほどの大量のビッグデータに囲まれている現代、
組織は新しいタイプの専門職を必要としている。
それは「データ・サイエンティスト」と呼ばれる人々である。
彼らは大容量の非構造化データに構造を見出し、
分析可能にし、ビジネスに役立つ知見を導き出すことができる。
実際に、SNSの〈リンクトイン〉の躍進の背後には、彼らの貢献がある。
優秀なデータ・サイエンティストは稀少なので、
獲得競争が熾烈で、離職を食い止めるのも難しい。
金銭面の報酬だけでなく、自由度のある職務環境を用意し、
意思決定者とデータをつなぐ「かけ橋」となって
価値あるものをつくり上げたいというニーズに応え、
やりがいのある課題を与えることが重要である。
今後は、データ・サイエンティストを養成する
大学が増えてくると思われるが、それを待たずに、
いまから積極的に確保していかないと、
情報化社会では致命的な遅れにつながるおそれがある。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2013年2月号)』に掲載された論文を電子書籍化したものです。