◆愛など望むべくもない。
私は、夜だけの妻。◆砂漠の王女ライラは逃げ出した。国を守るために。
亡き父王が決めた年寄りの暴君ではなく、
次期国王としてよりふさわしいと噂されるシーク、
ラズ・アル・ザーキと結婚しなければ、私にも国にも未来はない。
彼は噂以上の人物だった。ルックスも人格も、王としての手腕も。
国のため、という理由のみで夫婦となったふたりは、
掟どおり夜の閨をともにし、ライラは初めて歓びを知った。
しだいに芽生えていった夫への愛はしかし、悲しみと裏腹だった。
どれだけ情熱的な夜を過ごそうとも、彼女の愛が届くことはない。
彼はライラの一族に殺された妻を、いまも強く愛しているのだから。■2013年下半期ベスト作品コンテストにおいて見事1位を獲得した作家、
サラ・モーガンの新作をお贈りします。国のためという大義名分のもと
結婚したふたり。ライラの切ない愛が報われる日は来るのでしょうか?
既刊『アラベスクの花嫁』の、あのカップルも登場しますよ。