見知らぬ土地でお金もなく、これからいったいどうすればいいの? 老夫人の
コンパニオンをしているサリーは、ようやく決まった次の勤め先を訪ねたとこ
ろ、雇い主が亡くなったと知らされ目の前が真っ暗になった。馬車の運賃を払
った今、乏しい蓄えは底をつき、宿代さえない……。サリーは途方に暮れ、最
後の銀貨を握りしめて紅茶を頼んだ。すると、見知らぬ紳士が声をかけてきた。
困り果てた様子の彼女を放っておけなかったという親切な貴紳、海軍提督チャ
ールズ卿は、サリーの話を聞くと驚くべきことを申し出た――彼との結婚を。