ロンドン社交界の貴婦人たちが、扇子の陰でひそひそと囁く。
“ふしだらで、はしたなくて、汚らわしい女……”
父親が亡くなって以来、エリザベスは根も葉もない噂をたてられ、
自分ではどうすることもできずつらい思いを強いられていた。
そんななか、ただ一人、友人のテリーだけは、
彼女の名誉を守るためと言って結婚を申しこんでくれた。
ところがある日、テリーの叔父、ハヴィントン伯爵ニールが現れる。
初めて見る彼の男性的な美しさにエリザベスが見とれていると、
ニールはその端整な唇をひらき、恐ろしい宣告をした。
「甥から身を引け。さもなくば、消えてもらうためには手段を選ばない」