両親亡き後、ブライオニーは名づけ親に引き取られ幸せに暮らしていた。
ところがある日、名づけ親が病気で突然この世を去り、
ブライオニーは耳を疑うような遺言を聞かされることになる。
名づけ親の甥ルークと結婚した場合にかぎって、
屋敷や財産の相続が認められるというのだ。
ルークといえば、子供のころ悪戯や意地悪をされた記憶しかないが、
いまや彼は子爵家の跡継ぎとなり、放蕩三昧の日々らしい。
「あなたとの結婚は、お金のために身を売るようなものだわ!」
そう叫ぶ彼女に、ルークは意味深長な笑みを浮かべて言った。
「勘違いするな。君に対して夫の権利を行使するつもりはいっさいない」