あらすじ★孤独なエルに、ダンを愛することはできるのか。あの忌まわしい記憶から、解き放たれる日は来るのか――愛と痛み、許しと再生の物語は、いよいよクライマックスへ。★私はついにダンの唇にキスをした。最初はついばむほどに、やがて我を忘れるほど深く。彼は私をきれいにしてくれた。あんなことがあっても、私は汚くなんかないんだと思わせてくれた。そして、私の手首の傷を撫でながら、なんでもないことのように言ってくれたのだ。「誰にでも傷はあるんだよ、エル。生きてきた証拠じゃないのかな」と。彼を失いたくない。けれど、私にはどうやって普通の恋愛をすればいいのかが皆目わからない。セックスはさせても、本当の意味では中に入れてくれない、とダンは言う。彼の愛に責められ、私は壁に追い詰められた。壁を壊す方法はただひとつ……私は、あの日私を染めた血と同じ色をした薔薇を手に、兄の墓へ向かった。