公務に飛び回り、わずかな自由時間は家族と過ごす。王女イザベラはそんな毎日を寂しいと感じたことはなかった――美術品鑑定のため、ニックが王宮へやってくるまでは。底知れぬ深い瞳と中世の騎士を思わせる魅力に誘われるように、イザベラは足繁く彼の仕事場へと通い始め、しだいに切望と憧れを抱くようになる。そんな思いが通じたのか、ある日ニックは彼女を夜の街へといざなった。■サンリミニ王国のロイヤルロマンスをお送りします。暗く孤独な生き方を選ばざるをえないヒーローの苦悩と、イザベラ王女の切ない恋心が巧みに錯綜する秀作です。