その結婚式はなにもかもが完璧なはずだった。クララは新郎となるザックのため、心をこめてケーキを作った。でも新婦の姿が見あたらない。花嫁は式に出ないと決めたらしい。ザックはクララの上司。そしてひそかに憧れる人。クララは披露宴会場にひとりいる彼のもとに歩み寄った。ところがザックはさほど気落ちはしていなかった。結婚はビジネス上の取り決めにすぎず、新婦への愛はなかったと言う。さらに商談を兼ねたタイへのハネムーンはやめられないから、婚約者の身代わりで、クララに一緒に来てくれないかと誘うのだった。私はお手軽な代役? 残酷な言葉に傷つきながらも、クララは迷った。■昨年6月デビュー以来さまざまな作品を書き、人気のM・イエーツ。彼女の最新作をお贈りします。