世の中の通年や業界の慣行にとらわれない経営は、世の中の常識とは外れているがゆえに、当初は批判の対象になり、「非常識な」というレッテルを貼られる。しかし、そのうちにそのユニークでイノベーティブな経営は、新しい時代にふさわしいものとして、徐々に世の中に受け入れられていく。「非常識経営」はいわば「時代先取り経営」ともいえる。本書では、野村證券、リクルートなど8社の事例を挙げて、経営戦略の本質、その成功の秘訣を探ったものである。
本書は1987年に刊行され、長らく絶版になっていたが、2010年に出版された楠木建氏のベストセラー経営書『ストーリーとしての競争戦略』の中で紹介されて話題となり、電子書籍として復刻されたものである。
楠木建氏(一橋大学教授)推薦
戦略の本質は「他社と違った良いことをする」ことにある。しかし、そんなに「良い」ことであれば、他社もとっくに気づいてやっているはずだ。よしんば誰も気づいていなかったとしても、利益をもたらす「良いこと」であれば、自社の成功を受けて他社も同じことをするはずである。すぐに「違い」でなくなってしまう。この戦略のジレンマをどう乗り越えるのか。この問題に真正面から取り組み、さまざまな事例で考察したのがこの『「非」常識の経営』である。